OIL
日本に届く原油を先読みする
価格を当てるのではない。世界のどこで「将来の供給能力」と「日本が使える選択肢」が静かに減り始めているかを観測する。
価格ではなく、将来産出能力を見る。
01|なぜ、このRADARを作るのか
出発点はトヨタの歴史である。1950年、トヨタはドッジ・ライン下の不況、原材料高、販売代金回収の悪化などから深刻な経営危機に陥った。労働争議を経て、豊田喜一郎社長は責任を取って辞任した。ここから「危機のときにも自ら動ける余力を持つ」という教訓を読み取ることができる。
1973年の第一次オイルショックでは、資源・エネルギーの有限性が現実の経営問題になった。トヨタは全豊田資源エネルギー調査委員会を設置し、省資源・省エネルギー活動を強化。1974年春には軽量・低燃費を狙ったターセル/コルサの開発も始めた。
※「危機から現在の情報収集文化へ一直線につながった」「借金ゼロが恒久的な社是になった」とまでは一次資料から断定しない。本RADARでは、確認できる史実と、そこから導く研究仮説を分けて扱う。
02|研究仮説
利益から遠い情報を捨てない
今期利益に直結しない地域世論・規制議論・投資計画にも、将来の供給制約の芽がある。
「社会の出来高」を測る
ニュースの中身だけでなく、特定テーマの情報量が平常時から何倍に増えたかを見る。
選択肢の減少を警戒する
価格上昇の前に、産油国・権益・輸送路・代替調達先の選択肢が減っていないかを見る。
市場到達可能量を見る
地下にある量ではなく、技術・採算・政策・設備・輸送を通過して実際に市場へ届く量を重視する。
03|観測の航路
原油価格は最後に置く。価格は重要だが、短期には在庫、投機、為替、OPEC+の判断、地政学など多くの要因で動く。RADARの目的は、その前段階にある「実体の変化」を捕まえることである。
04|7つの観測計器
| 計器 | 見るもの | 仮ウェート |
|---|---|---|
| ① 将来生産能力 | 新規油田、増産計画、可採能力、立ち上がり時期 | 25 |
| ② 投資・掘削 | 上流投資、リグ、開発井、FID、延期・中止 | 20 |
| ③ 既存油田の減耗 | 自然減退率、老朽油田、維持投資 | 15 |
| ④ 政策・規制 | 許認可、税制、国有化、輸出規制、環境規制 | 15 |
| ⑤ 地政学・輸送 | 海峡、港湾、パイプライン、制裁、戦争・内乱 | 10 |
| ⑥ 社会の出来高 | 賛否、住民運動、政治発言、報道量の異常増加 | 10 |
| ⑦ 原油価格 | RADAR仮説が市場へ波及し始めたかの確認計器 | 5 |
05|Social Vol_ratio
Social Vol_ratio = 直近7日間の関連情報量 ÷ 過去90日の週平均情報量
例:平常時20件/週 → 今週60件なら 3.0。ただし件数だけでは判断しない。政府・規制当局、企業、金融機関、地方政府、住民、SNSなど、発信主体に重みを付ける。
06|Resource Relationship Index
資源国が大量に生産していても、日本が危機時に確保できなければ意味がない。そこで「関係の強さ」を別計器として持つ。
最終的に知りたいのは「世界に何バレルあるか」ではなく、何か起きたとき、日本へ何バレル届く可能性が残っているかである。
07|警戒レベル
選択肢拡大
投資・能力・調達先・輸送路が増える方向。
変化観測
情報量や政策発言に平常時と違う変化。
選択肢減少
投資延期、許認可減少、輸送制約など複数の弱化信号。
供給警戒
実際の供給能力・輸送・日本への到達可能量に重大な制約。
08|最初の観測地域
| 地域 | 主な観測テーマ | 判定 | 次に確認 |
|---|---|---|---|
| 中東 | 余剰生産能力、OPEC+、ホルムズ海峡、対日関係 | 未判定 | 実データ投入 |
| 米国 | シェール投資、リグ、生産性、規制、輸出能力 | 未判定 | 実データ投入 |
| ロシア | 制裁、輸送、設備維持、輸出先変化 | 未判定 | 実データ投入 |
| 中国 | 国内生産、輸入依存、備蓄、需要・精製能力 | 未判定 | 実データ投入 |
| 南米 | ブラジル・ガイアナ等の新規供給、ベネズエラ政策 | 未判定 | 実データ投入 |
09|検証ルール
RADARは予言機にしない。警報を出した日付、根拠、反証条件を保存し、3か月・6か月・12か月後に答え合わせをする。
観測
何が平常時と違ったか。
仮説
その変化が続くと何が起こり得るか。
反証
何が起きれば仮説を撤回するか。
検証
実際の投資・産出能力・輸送量はどうなったか。
10|株式市場への接続は最後
資源RADARで実体の変化を確認した後に、商社、石油、海運、化学、電力、自動車、重工などへの波及を調べる。最初から銘柄を探すのではなく、実体経済 → 産業 → 企業 → 株価の順番を守る。
11|このRADARの原則
産出量が落ちる前に、「未来の産出量を作る活動」が落ちる。
危機が来る前に、「選択肢」が減り始める。
12|FLIGHT LOG
13|観測メモ
日付:
地域:
異常:
仮説:
反証条件:
次回確認: