CHAPTER 3

飛行機は「資金」

風が変わると、投資家のお金はどこへ向かうのでしょうか。
Chapter 3では、株価の上下ではなく、その奥を飛ぶ「資金」を追います。

株価が動くとき、そこには資金の離着陸がある。飛行機の正体は、市場を移動するお金です。

同じ市場の中で、資金は移動する

朝は半導体株が強かったのに、午後になると銀行株や商社株が上がり始めました。一方、朝の主役だった半導体株は勢いを失っています。

半導体朝の主役から一服
銀行後場から上昇
商社出来高を伴って上昇

「消えたお金は、どこへ行ったの?」

市場からすべての資金が逃げたとは限りません。ある業種から別の業種へ、資金が乗り換えた可能性があります。

①資金の「離陸」と「着陸」

株が売られると、その銘柄から資金が離れます。しかし、その資金が現金のまま待機するとは限りません。次に有利だと思われる業種や銘柄へ移動します。

半導体✈ →銀行→商社
下がった銘柄だけを見るのではなく、
同じ時間に上がり始めた場所を探す。

これが「資金の行き先を見る」という考え方です。

②なぜ資金は乗り換えるのか

風向きが変わった円相場、金利、原油、政策などが変わり、別の業種が有利になった。
利益を確定した大きく上がった銘柄を売り、まだ上がっていない銘柄へ移した。
割安さを探した高くなった主役株から、出遅れている割安株へ資金が向かった。
安全な場所を選んだ不安が強まり、値動きの大きい株から安定株や現金へ退避した。

これを資金循環、またはセクターローテーションと呼ぶことがあります。難しい言葉ですが、意味は「お金の乗り換え」です。

③出来高は「乗客数」

株価が上がっただけでは、資金が本格的に入ってきたとは言い切れません。そこで見るのが出来高です。

株価上昇 + 出来高増加多くの資金が参加し、上昇への関心が強まっている可能性があります。
株価上昇 + 出来高減少参加者が少なく、上昇の力が弱い可能性があります。
出来高は、飛行機に乗っている「乗客数」。
株価は飛行高度、出来高はその動きを支える人数です。

ただし、出来高が急増しても売りが殺到している場合があります。株価の方向と一緒に見なければなりません。

④主役から周辺へ広がる

最初は業界の代表銘柄だけが上がり、その後、関連する中小型株や素材・部品企業へ資金が広がることがあります。

主力株→関連株→周辺株

これは、先頭を飛ぶ飛行機を見た投資家が、同じ航路を飛びそうな別の飛行機を探し始めるためです。

主役だけでなく、追随する銘柄が増えているかを見る。
資金の「広がり」は、市場の強さを測る手掛かりになる。

資金の航路を読む4段階

風を見る
為替・金利・原油・政策に変化があったか。
先頭機を見る
どの業種、どの代表銘柄が最初に動いたか。
乗客数を見る
出来高を伴っているか。売買が本当に増えているか。
編隊を見る
関連銘柄にも上昇が広がっているか。一機だけの動きではないか。

この順番で見ると、単なる株価の上下が、資金が描く一本の航路として見えてきます。

⚠️ 資金移動は「確定した事実」ではない

私たちは市場全体のお金に名札を付けて追跡できるわけではありません。株価・出来高・業種別の強弱などから、資金の動きを推定しています。

一時的な買い戻し、決算発表、指数への組み入れなど、別の理由で動く場合もあります。

「資金が来た」と決めつけず、
複数の証拠が同じ方向を示しているか確認する。

確認フライト:資金はどこへ向かった?

金利が上昇しました。午後になると、次の動きが見られました。

このとき、資金はどのように動いたと考えられるでしょうか。

考えたあとで、読み方を確認する
観察読み取れる可能性
銀行株+出来高増加金利上昇を追い風と見た資金が、銀行株へ流入している可能性。
成長株+出来高を伴う下落金利上昇を向かい風と見た資金が、成長株から離れている可能性。
関連株にも上昇が拡大一銘柄だけでなく、銀行業界全体へ資金が広がっている可能性。

基本的な仮説:成長株から銀行株へ、資金が乗り換えた可能性があります。ただし、ニュースや個別材料も確認して判断します。

☁️ 🌬️ ✈️ 💰

次のフライトへ

Chapter 1で「空」を見て、Chapter 2で「風」を読み、Chapter 3で「資金の航路」を追いました。

空→風→資金→リーダー

では、その資金を先頭で引きつける銘柄は、どう見つければよいのでしょうか。

Chapter 4「リーダーを見る」へ続きます。